オカリンメモ

『書だ!石川九楊展』に行ってきた

投稿日:2017年7月9日 更新日:

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『書だ!石川九楊展』に行った。
とても面白かった。

せっかくなので感想を書いておきたい。

でも石川九楊さんのことは名前ぐらいしか知らないので、作品の凄さをちゃんと説明できるとは思わない。
なので本当にただの感想になるのだが、帰りに道端で色紙に毛筆で好きな言葉を書いてくれる路上の書家がいて、いくつか作品が並べられてたのを見て、なるほど、これは全然違うわ、と感じた。

石川九楊の書はとにかくすごくて普通の書がつまらなく感じられるようになってしまったわけだ。

さて、面白いとかすごいとかぐらいで感想は終わりにして、書道や芸術の専門家でも愛好家でもない自分のような人間がああいった作品にどう向き合ったのか、自分自身に聞いてみたいと思う。
おい、俺、何を思ったんだい?と。

まず、ディスプレイの文字や活字と書は違う。
文字として読みやすいかどうかで言えば、書の文字は読みにくい。
言葉をわかりやすく伝えるために書かれているわけではないと思う。

そうなると、そこに書かれている文字の意味、文の内容は書の価値にどう影響があるのだろうか。

展示会では作品の横に何がかかれているのかを活字で説明しているものもあった。
それを読んでからもう一度作品を見ると、確かにそう読める文字がいくつかあって、謎解きの面白さ的なものを感じられた。

いや、芸術作品としての書は文字を読み解くなぞなぞではない、絵画のようにフォルムや濃淡に美を感じるべきだ、と言う人もいるかもしれないが、それはわかるけど、それなら書じゃなくて絵画でいいことになる。

絵の具で作品内に文字を書いた場合、それは書と言われず、絵画の一部と認識されるだろう。

それと書は違うのか、同じでいいのかという問題が出てくる。

そういう分類というかジャンル分けなどゴチャゴチャ考えず、感じろ!という側の意見もわかる。

前提がなく真っ白な心で作品を見て、そのとき感じたことがすべてだ、と。

日本語や漢字がわからない外国人がおかしな日本語をタトゥーするというのは、そういうことだろう。

でもやっぱりどういう言葉、文字を書くのか、そのチョイス自体も価値に影響がないはずはないと思う。

「堅忍不抜」とかよくある良さげな言葉を選ぶのか、「うんこ」とかあえて下品とされるような言葉を選ぶのか、「足ふきマット」とかなんでその言葉選んだんだ、というような言葉を選ぶのか、何がいいかは別だが、チョイスは大切だろう。

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それから、ある作品を見ると、これはミロじゃないか?カンディンスキーじゃないか?キース・ヘリングじゃないか?などなど他の画家の絵を思い起こさせるようなものがあった。

影響があるのか、突き詰めると自然と共通点が出てきてしまうのか、こっちの勝手な思い込みなのか、その辺りは全くわからない。

書から芸術作品の表現技法を読み取って喜ぶというのも、賛否ある鑑賞法だと思う。

他の芸術家に似てるというのは失礼だとか、逆に芸術性の高さの証明だとかいろいろ言う人がいるかもしれないが、ピュアに思ってしまったことなので、どうしようもない。

次に思ったのが、ある文字をお題として「その文字を何か面白い書き方してみて」と言われ、いろんなバリエーションを考えまくる面白さ、というのもあると思った。

それとは逆に、何度も出てくる「はらい」の筆致?というか筆ぶり?書きぶりを見ていると、これって書いてて気持ちよかったんじゃないか、と思った。
頭をひねってバリエーションを考える楽しさと、ここでこうグッとはらいたい、という気持ちよさのようなものは絶対にあると思うんだよなぁ。

あと、よくある四文字熟語とか好きな言葉を筆で書いて、部屋に飾っておきたいというのがあると思う。

にんげんだもの、でもなんでもそれは好みなので、それはいいとして、もしそれが読みやすい活字だったら全然おもしろくないと思う。
すぐ飽きてしまう。

でも石川九楊の作品なら、何回も、何年も、鑑賞に堪えるだろうな、と思った。

ごちゃごちゃ書いてきたけど、結局思ったことは、素晴らしい作品は多面性というかすごくたくさんの価値が含まれていて、いろんな段階の人に何かしら訴えかけてくる力があるんだろうなー、と。

子供も楽しそうに見ていたし、含蓄の塊のような上品なご老人もうなっていたし、なんて書いてあるか読めないし、意味わかんないって言っている人も、一度これらの作品に触れて置くと、その経験がその後何かを見たときにボディブローのようにきいてくるんじゃないかな。

自分自身も言葉にはできないけど、本当に面白かったし、刺激を受けていろんなことを考えたことで十分満足だ。

もしこれから書店で石川さんの本を見たら手に取るかもしれないし、テレビやラジオや雑誌やネットで誰かが話題にしていたら、自然と目が向くようになると思う。

もっとわかりたいと思ったらいくらでも関連のものに触れていってどんどんハマっていけばいいし、他のことに興味が向いているときは、それにハマればいい。

また何か書きたいことが出てきたら書くかもしれないし、書かないかもしれない。
そんなスタンスでこれからもいろんなことに触れていきたい。
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