ノリオメモ

お気に入りのブログがないのでライター・奥山貴宏の話をします

投稿日:2018年5月23日 更新日:

わりと恒例になりつつある、#はあちゅうサロンブロガー部のテーマブログ。

今回のテーマは“お気に入りのブログ“

いきなりテーマをぶっ壊しますが、私はあまり人のブログを読みません。というのも、特段仲の良い人もいませんし、今は他にやるべきこと、やりたいことがありすぎて、普通のブログからは離れてしまっています。
(読むのはビジネス関連の意識高いっぽい記事ばっかり)

ということで、お気に入りのブログがないので、ライター・奥山貴宏の話をします。

ライター・奥山貴宏という男

ライターの奥山貴宏という男を知っている人はどれだけいるでしょうか。

奥山氏は1971年生まれのライターで、現在46歳…

生きていればの話ですが…

先に書いてしまうと、奥山氏は33歳という若さでこの世を去っています。

奥山氏の略歴を簡単に紹介すると、奥山氏は大学卒業後、リットーミュージックなどでライターとして働きます。私が愛読しているサンレコなどでも記事を書いていました。
(名前を発見した時はちょっとテンション上がった)

奥山氏は、私の知っているかぎり、2002年頃、かなり早い段階で個人ブログを書いていたライターの一人だったと思います。
(現在は削除されているので、詳細な開始時期は不明)

ある日、風邪だと思い病院で検査を受けたところ、肺ガンと診断され、余命2年と宣告されてしまいます。

しかしブログのスタイルを崩すことなく、闘病記をつづるようになります。

私が彼を知ったのは偶然テレビ番組にて。日本テレビの『ジェネジャン』という番組で、老若男女がその日のテーマ「死」について熱く語り合う中、最後に登場して、肺ガンであること、余命を宣告されていることを語ります。今まではご飯を一食、食べることなんて何でもなかったけど、最近はご飯を完食しただけで妙な達成感を得られたりなど、今まで当たり前に感じていたことを嬉しく感じれるようになったことなどを話します。

そしてそれがキッカケでブログも注目されるようになり、ブログは書籍化。

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もちろん、私もその日から、かなり頻繁に奥山氏のブログを見るようになります。彼が教育テレビで特集された時の映像は、VHSで録画し、実家に帰ればまだあると思います。

そして念願だった小説も発売。

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そして小説発売の3日後に奥山氏は33歳という若さでこの世を去ります。

本人から更新されたブログは「死にたくないな。書店で会いたい。本屋でセットで買ってくれ」というものでした。

死去から数日後、奥山氏が亡くなったことが奥山氏の母から更新されました。

そしてさらにその数日後、奥山氏の母が更新した記事がこちら。
(ブログは削除されてしまったので、他サイトから引用しました。この記事で間違いありません)

■読者のみなさまへ――サ母より

 このガンエヴォは我が家のパソコンでは見ることができませんので、貴宏がこれまでどんなことを書き、読者の方がどんなことを書かれているのかも知りませんでした。今回の入院中、初めて読者のみなさまのメッセージを読む機会を得ました。もっと早くに知り得ていたらと残念でなりません。

 3月24日、突然の主治医からの電話で入院を勧められました。しかし、本人には見事断られてしまいました。まだ『VP』の校正が終了していなかったのです。
 3月29日に上京した折、『VP』の校正刷を少しずつ輪ゴムで止めてと言うのです。寝ながら読むには重過ぎるからとのことでした。ベッドに仰向けに寝ながら、分厚い量の校正刷を必死で読んでおりました。
 よほど嬉しかったのでしょう。31日の夜、「仕事が一段落しました」とのメールが入りました。

 4月6日は受診予定の日でした。病院へ付き添うために上京しましたが、肩で息をしているような状態でした。そこですぐ病院へ連絡を入れ、午後に入院できるようお願いしました。
 アパートの部屋の玄関からエレベーターまで5、6歩。エレベーターを降りてタクシーまで40歩位でしょうか。やっと歩いて行きましたが、それが最後の歩く姿となりました。
 
 病室に着くなり酸素吸入をし、すぐに腹水を2リットル抜いて貰いました。もうぼろぼろの体になっていたのです。入院後も日に日に体力は低下し、食も細くなりました。『VP』の見本が届いても表紙を見ただけでした。
 牧野出版の吉田さんも見えましたが、貴宏にはお会いする気力もなかったのです。でも、印刷された読者の方からのメッセージを読ませて頂いて、なんとか返事を届けたいということで、翌日吉田さんに口述筆記をして頂きました。それが「作家デビュー」のメッセージとなって実現したのです。また、NHKの西島さんからもメールでブックセンターの写真を送っていただき、本が並んでいる様子を見ることができました。本屋さんで見られないことをとても残念がっておりました。

 本が店頭に並び、毎日届く読者の方からの反響を読んで貰う度に元気を取り戻していきました。

 主治医との話し合いでは、貴宏は「今は体力がない。少し休みたい。体力が戻ったら山形の家に帰りたい」と言いました。実家で小説の二作目を書きたかったのです。

 17日はすいかをおいしそうに食べ、3時すぎに父親が「連休にまた来るから」と言って病室を出ようとしたら、「ありがとう」とはっきりとひとこと言って別れました。
 その後吉田さんと西島さんが見えました。吉田さんは読者の方々のコメントを読み上げてくれました。
 お二人が帰られたのは6時頃。その後、少しうとうとしておりましたが、突然『VP』の見本を見たいと言って本を手に取ると、後半の部分を真剣に見ておりました。何かを確かめたかったのでしょう。
 少しして、食事すると言ってカロリーメイトを少し飲んで、またしばらく休み、ぽつりと、
「がんばらないと……車椅子に乗れたらいい」
「そうね。電動車椅子もあるし、行動範囲広がるよね」
 それが最後に交わした会話でした。
 ちょっと間をおいて、細くなった手で私の手を静かに握りしめました。今思うとありがとうとさよならの両方を伝えたかったのでしょうか。
 それから40分程して静かに息を引き取りました。
 死ぬ間際まで仕事への意欲をみせました。それは読者の方々の『VP』に対する感想を聞いたからだと思います。

 貴宏は病気との戦い、孤独との戦い、仕事との戦いと、ずっとずっと戦って来ました。どんなに辛く苦しくても仕事を続けてこられたのは、読者の方々の声によるものだと改めて知りました。読者の方が、貴宏の言葉に勇気を貰いました、励まされましたと述べておられますが、本当に励まされたのは貴宏の方だったと思います。長い間支えて下さり、本当にありがとうございました。
  
 通夜や葬儀を通し、貴宏が多くの良き友、先輩、読者の方々に恵まれていたことを知り、とても嬉しく思いました。と同時に感謝の気持ちで一杯です。また、これまで身近にいた者として、力尽きるまでよく頑張ったと誉めてやりたいです。
 本当は大声で叫びたいほど苦しい時もあったのに、平気で乗り越えたふりをして。ものすごく努力してるのに、普通にできたふりをして。

 病室では、「そばにいるから安心してお休み」と言うと「うん」とうなずき、安らかな寝顔で眠ったものでした。息を引き取った貴宏の顔はとても穏やかでした。すべての力を『VP』に注ぎ、満足したかのように。
 故郷の山形で、まだまだ書きたかったろうにと思うと残念ですが、仕方のないことです。自分が忘れられない為に本を残すと宣言し、病気と戦いながら三冊も出版できたのですから、よくやったと言ってやりたいです。

 今、庭には、梅の花とこぶしの花が咲いています。桜の開花には、あと一週間はかかるでしょう。入院する時には、東京は桜が満開でした。タクシーの中で「今年は花見ができなかったな」と言っておりました。昨年の8月2日に亡くなった愛犬ロッキ-とお散歩した公園に貴宏も連れてお花見を致しましょう。リクエストは何かな? おだんごかな? 上京の前には、よくメールのやり取りをしました。今回のリクエストは……と。

 貴宏はたくさんの仕事を残してくれました。サ母はインプットされた任務の遂行を当分続けていかなければならないようです。それが全て完了した時に、悲しみはどっとやってくるのでしょうか。

    
    サイボーグ母こと、奥山貴宏母より

人生とは辛いものです。

これを読んでいる人も、それなりに生きているはずですから、誰かの死にぶつかったり、もしかしたら自分自身が死ぬかもしれないと思った瞬間もあるかもしれません。人間の一生は短いです。自分で生きることをやめることもできますが、そんなことしなくてもどうせそんなに長くはありません。辛いことがあって解放されたいと思うことがあるかもしれないけど、生きたくても生きれない、まだやることがあるのに果たせない人を見ていたら、せっかく与えられたのだから贅沢に使おうかなとも思えてきます。

なぜ奥山氏の死去から13年経った今になってこの記事を書いたかいうと、単純に今回のテーマ“お気に入りのブログ“で思いつくブログが他になかったから。私はテレビ番組で彼を知ってから頻繁に彼のブログを読んでいたし、本も全部買いました。彼の「死」に対しての向き合い方やブログのスタイルにとても影響を受けたし、彼を知らない人はこれをキッカケに知ってくれればいいし、彼を知っている人はこのタイミングでまた思い出してくれたらいいなと思い書いてみました。

Amazonを見てみてください。

著書はどれも発売から10年以上経過し、中古で安く売られています。それなりに出回っている本なので、ブックオフなどでも売ってると思います。

興味のある方はぜひ読んでみてください。

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