今回は『人類遺産』を見に行ってきました。
『いのちの食べかた』でおなじみのニコラウス・ゲイハルター監督の最新作ですね。
初めて『いのちの食べかた』を見た時はかなり衝撃を受けました。
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ただ淡々と野菜の収穫や肉の屠殺風景が流れているという斬新すぎる作品です。
そして今回の『人類遺産』。
音楽がないのは今回も同じですが、今回は更に『人間』が一切出てきません。
予告編を見ると音楽やナレーションが入っていますが、本編では一切入っていません。
予告終盤の映像の高速の切り替わりもありません。
ただ朽ちていった廃墟が次々に映し出されるだけ。それだけなんです。
行ってきた。
『人類遺産』を公開している劇場は日本でたった12箇所。
しかも都内だと渋谷と表参道の間にある『シアター・イメージフォーラム』のみとなっています。
ということで行ってきました。
『シアター・イメージフォーラム』に来たのは初めてだったのですが、ここは席指定で購入するのではなく、全席自由席で購入順に入場する形式らしいです。
実は今回、映像を目の前いっぱいに広げてより没入感を出したかったので、一番前のド真ん中を希望していた私。
一番早い上映の購入枚数が7枚。
『もしかしたら7人の内の誰かが一番前のド真ん中に座ってしまうかもしれない。』
次の上映の購入枚数が2枚。
『まぁこれなら最悪、その横か後ろでもいいか。』
ということで1回飛ばして次の上映回を購入。
時間つぶし
今日は東京メトロの24時間乗車券を購入していたので、赤坂の友でラーメンを食べ、
六本木ヒルズで『エルミタージュ展』とほぼ日の『生活のたのしみ展』を見て(たのしみ商店街は自由に見れるが、たのしみ食堂は入場制限あったので諦め)、良きタイミングで再び劇場へ。
これは『エルミタージュ展』終わりに六本木ヒルズの52階から見えた景色。
立派な人類遺産ですよね。
入場
『シアター・イメージフォーラム』到着。
上映10分前になると、順番に入場。
と思いきや、
『じゃあ今から入場開始になります。1番から5番までの方どーぞ。』
ざっくり入場。
入口にいた私、
『俺3番だけどいいんですか?』
『はい。』
1番に入場。
目的の一番前のド真ん中に鎮座。
よかったよかった。
と思いきや若干の誤算が。
画面が少し高いのだ!!
なので一番前だと少し見上げる形になってしまう。
移動するか少し考えたが、一番前なら浅く座ったり、足伸ばしたりと、自由にできるので、やっぱり一番前がいいかなと。
首が疲れてしまう可能性があるので、気になる方は3列目4列目とかがオススメです。
鑑賞感想
予告編が少し流れて、そこからは94分間、ただ淡々と人類遺産が流れていくだけ。
ラストは最後のシーンの音だけ流しながらエンドロール。
ニコラウス・ゲイハルターワールド。
日本のカットはいくつ出てくるのか
【撮影期間4年、世界70ヶ所以上】
計ったわけではありませんが、1カットの時間は30秒くらいでしょうか。
本編が94分ありますので、180カットくらいあるんですかね。
序盤は日本のカットが多かったです。
おそらく東北でしょうか。
最初は日本のカットがいくつあるのか数えていたのですが、見ながら『これは日本?韓国?』と悩んでいる間にも映画は進んでいき、後のカットで『あ、やっぱり日本だ!!』ということもあり、結局途中で数えるのをやめました。
そして後半は軍艦島シリーズなので、日本の風景は合計100カット近く入っているんじゃないかと。
睡魔には気をつけろ!!
予告編では【新感覚の映像体験】なんてありますが、決してそんなものはありません。
ニコラウス・ゲイハルター監督の作品を見たことある人ならわかりますが、いつものニコラウス・ゲイハルターです。
『ただ廃墟を垂れ流しするだけの作品のわけがない!!最後に何か大きな仕掛けがあるはずだ!!』なんて思ったら大間違いです。
何回も言ってますが、人なし音楽なしナレーションなしの『人類遺産』。
撮影中のカメラ移動なども一切ありません。
決めた枠を延々撮影。声も足音も何も入れない。
カメラの後ろに何人いるのか知りたいぜ。
まぁそんなこともあって、途中急激な睡魔に襲われます。
劇中の雨の音や風の音、そして海の波の音。ハエが飛んでくる不快な音は別にして、眠気を誘発させる心地よい音が延々と流れてくるので、寝てしまわないように気をつけましょう。
多分、あの瞬間に寝たら最高に気持ちいいと思います。
なぜ解説してくれないのか
個人的な感覚としては、シーンごとの解説はしてくれた方がいいです。
『ここはどこ、なぜこういう状況になったのか?』
軍艦島くらいメジャーなものであれば、後から自分で調べることができますが、そうでないものはどこだかもわからないし、調べようがないですよね。
『ここはどこ、なぜこういう状況になったのか?』
それを各々で考えてくれっていう狙いなのだろうか。
でもやっぱりあれがどこかっていうのは結構知りたい。
映画が終わって、劇場のレジに『人類遺産』のパンフレットがあったので、ちょっとだけ見てみたが、場所やその背景については特に記載されていませんでした。
それが載ってるならパンフレット買う意味あったんだろうけど。。。。
そして今調べていてわかりました。
解説のない理由が。
撮影許可をもらうにあたって『土地の所有者と場所を公表しない』というのが結構条件にあるみたいですね。
なるほどね。
そして監督自らが『答えのない映画』を求めているようです。
まぁたしかに今までの作風を見ていると、そんな感じですよね。
ちなみに四方幸子さんは、東京造形大学特任教授、多摩美術大学客員教授で、今回の『人類遺産』で唯一、エンドロールに名前が載っていた日本人じゃないかな。
そして序盤のシーンは福島県の浪江町らしい。
偶然、浪江町に住んでいて震災以降関東に引っ越してきた知り合いがいたので色々聞いてみた。
『東北で住んでたのって福島の浪江町だっけ?』
『そう。なんで?』
『人類遺産っていう映画に浪江町が出てくるんだよね。』
『そうなんだ。』
『浪江町って今入れないの?』
『入ることはできるよ!
ただ浪江町のほとんどが帰還困難区域だから住むことはできないの。』
『なるほどね。』
入ることはできるらしい。俺はそんなことすら知らなかった。
劇中では浪江町のマクドナルドやゲオが出てくるが、おそらく浪江駅前の商店街らしい。
ちなみに劇中で出てくるこのシーン。
出典:予告編Youtubeより
これも確証はないけど、おそらく駅前の駐輪場だそう。
追記
知り合いが浪江駅に行ったみたいで、写真をくれました。
やはり劇中に出てくるのは浪江駅の駅前ですね。
撮影が2017年3月29日で、劇中では駐輪場に自転車がたくさんあったので、撮影時期は2012年とか2013年とか、初期の頃なのかな?
GEOもまだこんな感じらしい。
『浪江って浪江町住人以外の人でも行くことできるの?』
『浪江町の中でも帰還困難区域以外は申請書なくても行ける。』
『なるほど。この写真俺のサイトにアップしていい?』
『名前とか出されなければ全然OK』
ということなので、ありがたくアップ。
まとめ
良くも悪くもいつものニコラウス・ゲイハルターワールド。
DVDが出てからでいいやっていうのならそれはそれでいいのかなと。自分のペースで巻き戻したりできますしね。
やっぱり劇場数が少ないのは痛い。
でもシアター・イメージフォーラムでは1日4回くらい上映しているので、時間の都合は合わせやすいかなと。
廃墟でいうと、佐藤健寿の『世界の廃墟』という本もなかなか興味深そうですね。
今回の『人類遺産』と同じ場所もいくつか出てくるそうです。