佐藤尚之『ファンベース』読了。
売り上げランキング: 1,707
ゆうこすが絶賛していたということで、「フォロワーを増やしたい」というとチープですが、ここ数年、VALUやSNSに挑戦してみたり、『アソ部』や『ノリオンラインサロン』、『CHAINS』などの新しいサービスを作っていく中で、人に支持され、愛されていくことの重要性は感じていて、
「せっかく良いサービスなのにー」
「これがホリエモンだったらなー」
と、雑に悩んでおります笑
この本は、そんな新規顧客獲得にばかり目がいってしまい、既存の支持者を蔑ろにしているマーケターにオススメの本です。
また、これは個人のSNSにも応用でき、試行錯誤している施策が上手くいかないことに対するヒントも隠れていそう。
ファン = 支持者
【ファン】というと、アイドルにキャーキャー言うイメージがあるかもしれませんが、著書でいう【ファン】とは【支持者】のことであり、人もそうですが、商品でもアプリでもなんでも、愛用して強烈に人に薦めたくなるものってあると思うんです。
私だったら『iPhone』や『MacBook』がそれでしょうか。
数年前まで使用していなかったのですが、一度使い始めたら、なくては生活できなくなるレベルになってしまいました笑
そして「新しくノートパソコンを買う」という人には、とりあえず『MacBook』を薦めている気がします笑
著書では【ファン = 支持者】であり【ベース = 土台】、そんなファンを大切にしていくという思想で進められていきます。
「ファン以外の新規顧客に目を向けるべき」
などの意見もあるかと思いますが、支持者を疎かにすると、新規顧客どころか、今までの支持者まで失う事になりかねません。
ということで、この本は【ファンを大事に!!】な本です。
そしてこの【ファン】を意識するばかりに現状をキープするのではなく、未来を見据えたファンと共に未来の価値を創出していくと。
コアなファンが売り上げを支えている
著書内では【パレートの法則】が出てきます。
「80:20の法則」とも言われており、要するに「20%の上位顧客が全体の80%の売り上げを生み出している」と。著書内では、この【パレートの法則】を証明するいくつもの事例を出し、その必然性を説きます。
要するに【ファンを大事に!!】ってこと笑
ちなみにこれは著書内で紹介されていた記事。
ソニーのデジタル一眼カメラ「α」に学ぶ、なぜ購入後のマーケティングを重視すべきか |ビジネス+IT
ソニーのデジタル一眼カメラ「α」は、購入後のマーケティングを重視したことで、カメラ購入時の使用金額を1として、リアルな体験会にくる時点で5.34まで上がったそう。
「α」本体が安いもので10万円。体験会に来る人の平均が50万以上…
ファンを大事にファンを大事に笑
(特にコアなファン)
バズっても瞬間風速的
「バズってもフォロワーが伸びない」
これは結構前からよく聞くことだし、たしかにツイートがバズっている人のプロフを見ても、フォロワーが増えているというイメージはありません。
広告でも、話題になったとしても、極端に売り上げが伸びたりするということは稀だそう。
これはインタネットの拡大によって情報が溢れていることが大きい。バズってもみんなすぐに忘れてしまいます。
大企業ならそういったバズるような広告や施策をバンバン投入して、認知度を上げていくこともできるかもしれませんが、個人でそれをするのは難しいし、ドラッグのようにどんどん投入しないといけなくなってきて、どこかで破綻してします。そこで重要なのが、キャンペーンをつなげて資産化する必要があると。
どうやるかというと、、、、
「バズってもフォロワーが伸びない」
これはたしかにそうなんですが、これ自体が無意味というわけではないんです。
TwitterなどのSNSだったら「何やってる人だろう?」と、プロフィールに飛んでもらえるし、広告だったら、その商品のことを認知させることができます。
重要なのは、こういった単発施策以外にも中長期施策などをつなげて資産化していくのです。
SNSのインフルエンサーなんて井の中の蛙
これは私も常々思っていることですが、SNS上のインフルエンサーって、TwitterやInstagramをあまり利用しない人からすると、意外と無名だったりします。
以下の記事でも書いたのですが、はあちゅう氏のTwitterフォロワーが日本で1,193位というのは個人的にかなり衝撃的でした。
くすぶっているすべての人のバイブルに|『ウシジマくんvs.ホリエモン 人生はカネじゃない! 』を読んで Part.2
逆に、著名なYouTuberの名前を自分が全然知らなかったりして、本当に自分の見ている世界は狭い、世界は広いということを痛感します。
ここで何が言いたいかというと【拡散を狙うバズはかなり限定的】ということ。
SNSマーケティングではバズを狙ったり、フォロワーなどのわかりやすい支持者の数字(エンゲージメントもしかり)を追いかけたりしがちですが、そこに問いかけるような内容でした。
ファンがファンを作り出す
著者の場合、まったく興味がなく、PR記事を読んでも、SNSのTLに流れてきても、すべてスルーしてきた歌舞伎の演目について、友人が「すぐに見に行け!」「見逃すと人生の損!!」とSNSに書いていたのに心を動かされて鑑賞したところ、非常に良く、SNSで宣伝をしたという話笑
完全にスルーしていた人間が、次の瞬間、ファン側にまわった事例ですね。
でもこれって、誰もがよくあることだと思います。
世の中にこれだけ情報が溢れている中で、自分にぴったり合うものを見つけるのは非常に難しくなってきています。そんな中、友人からの口コミが威力を発揮するというのは、すでに多くの人が感じており、これは友人とは【価値観が近い人】だからです。
自分が良いと思うものって、なぜか言いたくなるんですよね笑
コンプレックス商材はファンベースが適用しづらい
コンプレックス商材とは、コンプレックスに訴求するタイプの商材で、以下が該当しやすいです。
(何をコンプレックスと思うかは人それぞれなため)
これらは、コンプレックスからきているものなので、家族友人にもオススメしにくい。
・痩身
・美顔
・豊胸
・増毛
ファンの支持を強くしよう
著者の感覚では、やはりファンの数は商品を購入した内の20%くらい、コアファンの数は4%くらいだそう。
多くの人はそのファンの数を拡大しようとしますが、安易に拡大しようとすることで、
・ファンができにくい
・今いるファンが離れてしまう
可能性があります。
なので、やはりこの時点でやるべきことは、今いるファンの支持を強くする必要があります。
<ファンの支持を強くするための3か条>
・その価値自体を、アップさせること 👉 「共感」を強くする
・その価値を、他に代えがたいものにすること 👉 「愛着」を強くする
・その価値の提供元の評価・評判を、アップさせること 👉 「信頼」を強くする
「共感」を強くする
「共感」を強くするには、仲間であることをもっと強くファンに訴えかける必要があります。
たとえばファンミーティングを開催することで、ぼんやりと良いと思っていた人が、ファン同士で盛り上がることで良いと思っていた具体的なポイントを知ることができたり、共感を高め、ファンであることに自信を持ったりできます。
ファンは意外と自信がありません。
「この商品が好きな自分はイケてるのか」
「この商品が好きって言って笑われないか」
この時に私の頭に浮かんだのは、今回、この本を薦めていたゆうこす。
ゆうこすって元HKTだし、SNS上では一級のインフルエンサーですが、一般的な知名度はどの程度あるのかあんまりよく知りませんでした。そして知らない人にゆうこすを説明するのって結構難しかったりします。
しかし最近『アリシアクリニック』のCMに出てますよね。あれで「アリシアクリニックのCMに出てる」で説明できるんです。
そしてファンを第一に考えるということで、新作発表などをメディアなどではなくファンに一番に伝えることで、その共感をより強固なものにします。
「愛着」を強くする
「愛着」を強くするには、USP(Unique Selling Proposition)などによる他社との差別化ではなく、他代えがたいストーリーやドラマが必要とのこと。
著書内では【友人からのプレゼントが嬉しい理由】で例えられており、【モノ】ではなく、選ぶのにかかった【時間】などが嬉しいと。
また、ストーリーを前面に出すことで、その愛着は格段に増していきます。
例えば、ある商品の会社の創業者の自伝を読んで、創業の際の苦労話や開発ヒストリーを読んだら、多少その会社の商品に感情移入しますよね?
他にも、コールセンターで素晴らしい対応をされたら、その会社がより好きになるとか。
「信頼」を強くする
最近はネットやSNSで【企業の本当の姿】がすぐに明らかになってしまう時代ですので、真の意味での企業の評価を上げなくてはいけません。そのためには地道に信頼を積み重ねていくしかありません。
そこで重要なのが【信頼されない要素】を消していくということ。
媚びを売れというわけではなく、誠実ではないサービスはするなということです。
そこで頭に浮かんだのは、昨今のサブスクリプションサービス。例えば一定期間、利用またはログインがない顧客に対しては、退会を促すアナウンスを出すとかあってもいいんじゃないかなと。
『ファンベース』から少し派生した話で、サブスク系のサービスって購入後のケアがイマイチだなと思う部分があって…「幽霊部員」に対するケアがあるサービスって全然聞かないのよね。
例えば一定期間、利用またはログインがない顧客に対しては、退会を促すアナウンスを出すとかあってもいいよね?
— ノリオメモ (@noriomemo) 2019年2月1日
フィットネスジムとか特にそうだけど「幽霊部員」が収益を支えているというのも承知の上で、そこをケアすることで、また戻ってくる可能性が高まると思ってる。
なにより「詐欺られた」とか思われたら最悪じゃん笑
大手携帯キャリアの2年縛りとかさ笑
— ノリオメモ (@noriomemo) 2019年2月1日
また不祥事などがあった時に、己の保身ではなく、顧客第一に考えられるかはかなり大事です。
ここを間違えるとファンが一気にアンチに変わる可能性すらあります。そして【気づかぬうちに信頼を裏切ったりしている】こともあると著者はいいます。
こんなブログを引用したい。
YouTubeをスマホで見ているとかなりの頻度で日産リーフの30秒CMが割り込んでくる。そりゃYouTubeも慈善事業ではないのはわかってるから、最近の6秒CMとかは許せるんだけど、日産リーフのCMの場合「30秒CMでスキップできない」のが本当に本当に本当に腹がたつ。この数ヶ月このCMに邪魔されたおかげで、俺は一生どんなことがあっても日産車なんて買わないことを決めた。俺の時間とパケット返せよ日産。そもそもYouTubeをシコシコ見てる奴に電気自動車のCMをして効果があるのか疑問すぎる。買えねーよ電気自動車なんて。このCMが始まって日産リーフが売れ始めたか確認してみたけど、販売ランキングも全く上昇していないんだよね。つまり、ただただ頓珍漢で他人の時間とパケットを奪うだけの不愉快なCMってことだよ。何を考えているんだ日産は。
顧客に詐欺をはたらいたわけでもなく、【広告がしつこかった】という理由で嫌われてしまった日産。
でもあまりにも広告がしつこいとうざいですよね笑
✅一度検索しただけなのに、しつこく追いかけてくるリターゲティング広告
✅一度買い物をしたり、会員登録しただけなのに、毎日送られてくる迷惑メルマガ
✅カタログ請求しただけで、いきなりかかってくる悪魔の営業電話
✅表面上は良いことばかり書いてあるのに、隅に「○○な場合に限ります」と小さく
✅いきなり自動再生される動画広告
✅広告か広告じゃないかわかりにくく作られたバズ狙いの記事
✅スマホでいきなり全画面広告になって、広告を消す×マークが小さくなっているインタースティシャル広告
これは恋愛などに置き換えるとわかりやすい。
例えば好きな女性、また男性がいたとして、まだ向こうがこちらに好意があるかもわからないのに、しつこく自分のアピールをしていると思ったらゾッとします。ある程度、適切な接触間隔があるはずだし、向こうからアクションがないのに、一方的にアピールされたら、もはやストーカーです。
認知はされると思いますが、好意を持ってもらえるかは甚だ疑問です。
また広告以外にも、いざ解約しようとしたら、解約ページが非常にわかりにくいところにあるサービスとか、もう一生使いません。
不祥事もサイトに載せろ
企業がそれなりに長く存続していると、不祥事が起こってしまうこともあります。
「悪い印象はなるべく忘れ去られてほしい」と思うのが通常ですが、今はググればいくらでも過去の情報が出てきてしまいます。それならば隠すのではなく、その情報を整理して【どう対処したか】【どう改善したか】まで見せた方が逆に誠実です。
「そんなことしたら、不祥事を知らなかった人にまでそれを知られてしまう」と思う人もいますが、ですが語りかけるべきは20%のファンであって、残りの80%は別段興味も持たないし、知ってもどーせすぐに忘れてしまいます。
語りかけるべき20%のファンに誠実にすることこそが最優先であるし、逆に隠していたら隠していたで、その事実を知っているファンは「あのこと隠してるんだ」となってしまいます。
まとめ
最近読んだ本の中では一番良かったです。おそらく自分の中の課題解決に一番合致していたからかなと。
どの本が良いかは単純な面白さや新しい発見もそうですが、課題解決も重要なんだなと。。。。
ちなみに筑摩書房のサイト内に、著書内で取り上げられてる記事のリンクがまとめられています。
筑摩書房 ちくま新書 ファンベース -支持され、愛され、長く売れ続けるために コミュニケーション・ディレクター 佐藤尚之
すでに削除済みの記事もありますが、リンク内の記事を読むだけでも結構参考になるんじゃないかと思います。
そういえばゆうこすが絶賛していた記事はこちら。
ぼくらが、2018年に衝撃・感銘を受けた一冊 | CAREER HACK
そして次はCAMPFIRE 家入氏、コルク佐渡島氏オススメのこちらを読んでみようと思ってます笑
売り上げランキング: 3,757
記事を書いている人
ノリオメモ(@noriomemo )
株式会社NOOE.TOKYO 代表取締役兼COO。美容健康系メディアなどの運営を経て、2018年5月、起業家と投資家をマッチングさせる『CHAINS』をローンチ。
2018年7月からはオンラインサロン『ノリオンラインサロン』を主催。遊ぶことに命かけてる。アソ部主催。
<たま〜に書くnoteはこちら>
noriomemo|note
記事広告や体験レポート執筆などのご依頼はいつでもお待ちしております。新しいサービス大好き。
詳しくはこちら