もう沈静化して誰も興味がなくなってしまったようなVALU事件だが、VALUの勢いを削いだことは間違いない。
事件後、ビットコインの価格上昇のタイミングとも重なり、VALUの価格が下落しても売りたい人が増え全体的な価格が大幅に下がったまま閑散としているのが現状ではないだろうか。
ただ、個人的な意見としてはこういう事件のおかげで消費者保護のルールが出来たり、投機的な使われ方から寄付機能付きのSNSのような使われ方がされるようになればそれはそれでいいんじゃないか、と思う。
しかし一つだけまだあの事件によってもスッキリしていないことがある。
それは「VALU購入者がVAの価格下落によって損害を被ったことは自己責任である」ということが徹底されていないということだ。
発行者がVALUを放置したり、売ってすぐにアカウントを閉鎖して逃げたせいで大損をすることがあることは、サービスの仕組み上最初からわかっていることだし、ヒカルたちのように全部一気に売却することも当時の仕組み上何も問題はなかった。
結局何が問題だったのか。
そのあたりについていろんな人がいろんなことを言っているわけだが、VALUの中の人や顧問弁護士の言葉を聞くのが一番だろう。
そこで2つの番組を紹介したい。
VALU顧問弁護士の生の声
まずはVALUの顧問弁護士である水野祐が出演した2017/10/13のニコニコ生放送。
『インターネットと法規制
~多様化するウェブサービスに法制度は対応できるのか~』
・中村伊知哉氏(慶應義塾大学教授)
・川上量生氏(ドワンゴ会長)
・ひろゆき氏(4chan管理人)
・水野祐氏(弁護士・「法のデザイン」著者)
ここではひろゆきが「結局ヒカルは何に違反したのか」と質問をしているが、顧問弁護士は「インサイダー取引には当たらない」「当時の規約では問題はなかったと言える」「周りと連動して値段を釣り上げたこと」と非常に苦しい受け答えをしている。
川上さんも「VALUは矛盾があるんじゃないか」という指摘をしていたり、「ビットコインは法をくぐるためだけに存在をしている」といった面白い話もしているので詳しくは番組を見てもらいたい。
しかし一点だけ誤解があるようだったのでそこは指摘しておきたい。
VALU社からヒカル側へ内容証明を送った件
上記の番組内で、ひろゆきが「規約違反っていうので内容証明送ったじゃないですか?」と言っていたがこれは誤解だ。
確かにVALU社はヒカルらへ内容証明は送っている。
本日、弊社顧問弁護士より、VAZ社および井川氏に対し、VAの 大量販売など一連の行為による損害または損失が発生した本サービ スユーザーへの損害賠償または損失補填、VALU保有者からのV Aの買取り、ならびに損害を被ったユーザーに対する今後の具体的 な対応の内容およびスケジュールの公表等を勧告する通知書を内容 証明郵便により送付いたしました。
最終更新日 8月 23, 2017
しかしこの内容証明は規約違反をしたから送ったわけではない。
詳しくはVALUの中の人の生の声を聞いてみよう。
小川晃平代表取締役と中村洋基取締役の生の声
2017/9/11、ホウドウキョクのLive Picks
『話題の「VALU」小川晃平代表取締役と中村洋基取締役に聞く
「VALU」あの騒動とこれから』
https://www.houdoukyoku.jp/archives/0029/chapters/29194
(ホウドウキョクはそのうちアーカイブが消えてしまうので、見れるうちに見ておいてもらいたい。)
ヒカル問題について語っているところをざっくり抜粋するとこんな感じだ。
・「ヒカルたちが全部一気に売ることも特に問題ではなかった。」(中村)
・「一気に自分の信用を崩すような行動をとるのかなっていう見地は甘かった。」(小川)
・「(ヒカルたちが)いつ戻ってきてくれてもオッケー」(小川)
・「ヒカル側に対してVALU社へ損害賠償をしてくれというようなことは一切言っていない。」(中村)
・「全部売ります、そして(それによって損害が出ている人がいるのに)バイバイーというのが問題」(中村)
・「彼らが買い戻しをすると言っていたので、ちゃんとアクションしてくださいねという内容証明を送っただけ。」(中村)
さてこれらのことを踏まえて、結局あの騒動はなんだったのか、次回考えてみたいと思う。