加藤昌治『考具』読了。
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かなり評判の良い本ですが、なかなか手をつけられていませんでした。
「あなたは考えるための『道具』を持っていますか?」
これからの時代、単純作業などはどんどん機会化されていますし、いずれ訪れるであろう『シンギュラリティ(技術的特異点)』の時代に向けて、多くの仕事は「考えること」になってきているような気がします。
しかし考えることが仕事なのに、考えるための道具は持っている人は多くないような気がします。
もし誰かに今「考えるための道具をください」と言われても、どうしていいかわかりません。
著者は「考えるための道具はある」とし、その道具を『考具』と呼んでいます。
1994年に博報堂に入社した著者がこの本を発売したのが2003年なので、おそらく31歳くらいで出版しているんですね。すごい。
入社時、先輩たちは面白いことをポンポン言うのに対し、アイデアと名のつく本を片っ端から読み漁り、だんだんと自分なりのツールややり方を仕事に当てはめることで、仕事がうまくいくようになったことで、「アイデアマンになるかどうかは後天的なものだ」と思うようになったようです。
「新しい」をどう理解するか
著書で紹介されていたこの本。
この本の中でされているアイデアの定義。
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」
要するに、ゼロから生まれるアイデアは存在しないということです。
どんなに素晴らしいアイデアであっても、そのアイデアの素になったアイデアがあるわけで、全世界的に新しいアイデアである必要はないんです。
逆に、そんなアイデアがあったとしたら、それは現在の地球人には理解されないかもしれません。
たとえば、本屋にスーパーマーケット業界のノウハウを持ち込んだら、それは画期的なアイデアになる可能性があります。
少し新しいだけでも新しいのです。
ちなみにこの本、レビュー見てたらかなり良さそう。。。。
「量が質を有む」の量とは
「量より質」「質より量」は、どちらもよく聞く言葉ですが、全員、どちらも大事なことはわかっています。
順番的には「質より量」からスタートし、洗練されてくると「量より質」に転化していくのかなと。
なので、最初は「質より量」だと思うのですが、「量が質を有む」の量とは一体どれくらいなのでしょうか。
著書では、その具体的な量数については言及していませんが(しようもない)、量はたくさん出すけど、一つ一つの案の情報量は「一行でもいい」と述べています。
なるほど。
多くの人は「パッと浮かんだくだらないものは出せない」と言いますが、量を質に転化させるには、くだらないものも含めてどんどん出すことが重要ですし、自分には当たり前の発想でも、誰かにとっては新しい発想になるかもしれません。
「おそらく今までは「こりゃないや」と思ったらそのまま頭の中で消滅させてました…ね。それ、今日から禁止です。
頭の中で消していいのはエキスパートのみの特権だと思ってください」
考具その1『カラーバス』
バスはBATH.色を浴びるということですね。
朝、家を出る時に「今日のラッキーカラー」を決め、赤と決めたら、赤いものに注目するという、結構簡単なもの。
一つの色に限定して注目すると、普段は目につかないものなどがどんどん飛び込んできます。
ここで注意したいのが、アイデアは「既存の要素の新しい組み合わせ」ということです。
たとえば、赤い車を見つけたら「他にはどんな赤い車があるのか」「ボディ以外に赤い部分はあるか」など、車周りのことだけ考えてしまいがちです。
これだとアイデアの範囲がとても狭くなってしまうので、「そんなの関係あるの?」というくらい、まったく別の部分から赤を引っ張ってくるのです。
そして今度は色を変え、形状、位置、音と、さまざまなものを変えて、新しい情報をインプットしていきます。
カラーバスを調べてみたら「赤」からスタートするものが多かったので、ちょっと「青」でやってみました。
場所は渋谷センター街。
考具その2『聞き耳を立てる』
間接的なインタビューですね。
自分が誰かと話をしていると、どうしても類友といいますか、自分に興味のある話題が多く入ってきてしまいますが、ふと、他人の会話を聞いてみると、自分にはまったく興味のない話が延々されていたりします。ここに新しい情報があるのです。
どんなことが話題になっているのか、この本は2003年に発売されていますが、今だったら、電車内で周りの人がどんなスマホアプリを使っているかなど、わざわざ覗き込む必要はないですが、ふと目に入ったものを、情報として活かすも殺すも自分次第だなと。
考具その3『ちょいメモ』
人間はすぐ忘れてしまう生き物です。昨日見た夢も昨日の夜食べたご飯もすぐに忘れてしまいます。
そんな時に必要なのがメモ。メモメモメモメモメモ。
メモの方法はなんでもいいと思います。手帳でもスマホでも、音声録音でも。
考具その4『七色いんこ』
私は初耳ワードでしたが、どうやら手塚治虫のマンガらしいです。
内容は、代役専門の役者が主人公で、彼は同時に劇場で盗みも働く泥棒。そして彼を捕まえようしているお転婆の刑事。主人公の七色いんこは、あらゆる役を華麗にこなす名優。
そう、ここでは【演じる】のです。
誰もが「お客さんの立場になってみろ」と言われたことがあるかと思いますが、それを実践するのです。
たとえば10歳児向けの商品を開発しているとして、10歳児の身長140cmまでしゃがんでみるだけでも、何か発見があるかもしれません。
『なぜこの店で買ってしまうのか―ショッピングの科学』という本では、アメリカの実践派コンサルタントが、クライアントの店内に何ヵ所もビデオカメラを設置して、その映像を延々と見て、お客さんがどこで困っているのかを探るという手法を開発しているそうです。
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重要なのは、自分と違う立場・ポジションをできる限りなりきって疑似体験することで、新しい発見をすることです。
考具その5『フォトリーディング』
フォトリーディングは速読術ですが、
本や雑誌は情報の宝庫ですが、
考具その6『臨時新聞記者』
自分が抱える課題にとっての【現場】へ出向き、しつこくしつこく【取材】するという手法です。
話を聞けば聞くほど、芋づる式にヒントが出てくるかもしれません。
考具その7『アイデアスケッチ(手書き)』
考具その3『ちょいメモ』にも通ずるのですが、アイデアスケッチの場合、
・アイデアのタイトルをドカン
・単語一語にイラストもどき
・書いても3行くらい
と、ラフに、そして大きくたくさん書くことがポイントです。
(一つのアイデアスケッチ自体はざっくり)
アイデアなどの知的作業は【芋づる式】なので、まずはたくさん書いて【拡げる】ことから始めましょう。
考具その8『ポストイット』
ここらへんは全部『ちょいメモ』からの流れを汲んでますね。
ただ個人的にいいなと思ったのは、ポストイットは【移動させることができる】ことです。
先ほどから知的作業は【芋づる式】と書いているのですが、メモやスケッチよりも、ポストイットの方が移動が簡単なので、AとBだけではなく、AとEなど、全然違うところにあるアイデア同士をまとめやすいなと。
考具その9『マンダラート』
考具その10『マインドマップ』
考具その11『アイデアスケッチ(PC)』
考具その12『連想ゲーム』
考具その13『オズボーンのチェックリスト』
考具その14『ブレーンストーミング』
考具その15『5W1Hフォーマット』
考具その16『タイトル』
考具その17『ビジュアライズ』
考具その18『マンダラート』
考具その19『企画書』
考具その20『アイデアマラソン』
考具その21『問いかけの展開』
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この記事を書いている人
ノリオメモ(@noriomemo )
株式会社NOOE.TOKYO 代表取締役兼COO。美容健康系メディアなどの運営を経て、2018年5月、起業家と投資家をマッチングさせる『CHAINS』をローンチ。
2018年7月からはオンラインサロン『ノリオンラインサロン』を主催。遊ぶことに命かけてる。アソ部主催。
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