今回読んだのは有名なビジネス小説、エリヤフ・ゴールドラット『ザ・ゴール』のコミック版です。
エリヤフ・ゴールドラットはイスラエルの物理学者で、この本が最初に出版されたのは1984年。
しかも著者の意向によって、日本語翻訳版の出版は2001年まで許可されなかったそうです。
本屋やブックオフなどの古本屋のビジネス書コーナーをウロウロする人は絶対一回は目にしたことあるはず。
その理由については、
「日本人は、部分最適の改善にかけては世界で超一級だ。その日本人に『ザ・ゴール』に書いたような全体最適化の手法を教えてしまったら、貿易摩擦が再燃して世界経済が大混乱に陥る」
だそう。
この『翻訳の許可が降りない』は、逆に宣伝になりそうですが、そういった経緯から、日本に普及するのが遅れたようです。
ちなみにこれは2000年以前だからできた話で、このインターネットシェア時代、有益な情報であれば誰かがブログやメディアに勝手に翻訳してシェアされることでしょう。
あらすじ
機械メーカーの工場の所長である主人公の新城五郎。
赤字続きの工場を3か月以内に立て直さなければ工場を閉鎖されてしまいます。
偶然、海外出張中に再会した大学時代の恩師、経営コンサルタント・ジョナからアドバイスを受け、工場を立て直していく物語です。
工場にロボットを導入したのに上がらない成果
著書内では、工場にロボットを導入したのに、【売り上げが上がっていない】【人件費を削減できていない】【在庫が増えた】など、全体的な生産性が向上しませんでした。
それをジョナに相談した結果、「生産性とは何か?」を突きつけられます。
会社のゴール(目的)は「お金を儲けること」
主人公は、生産性とは【目標と照らし合わせて、何かを達成すること】だと導き出します。
なので、この工場の場合は【お金を儲けること】になります。会社のゴールはみんなそうですね。
【効率的に商品を作ること】は、手段であって目標ではありません。
ドラゴンクエストは敵のボスを倒すことが目標ではありません。あくまで敵を倒して平和な世界を取り戻すことなのです。
生産的かどうかをはかる指標
そこで今度は、自社の工場が生産的であるかどうかをどうはかればよいのかをジョナに問う主人公。
(お前は何でも聞くな)
ジョナが提示した評価指標は3つ。これをはかることでビジネスが生産的であるかどうかがわかるとジョナは言います。
スループット
販売を通じて、お金を作り出す割合。生産しても売れなければただの在庫です。
在庫
販売しようとするものを購入したすべての金額。
業務費用
在庫をスループットに換えるために費やす費用。
バランスのとれた工場は非効率?
ジョナが「バランスのとれた工場は非効率」と言い放ったことで驚いたのは主人公だけではないと思います。
ジョナ曰く、どの工場にも【依存的事象】【統計的事象】の2つの組み合わせが起こると。
このように事象と事象が繋がっているのが【依存的事象】。
こうした情報はその時々で変わるので【統計的事象】。
そして統計的変動があるかぎり、余分なリソースはあって当然なのです。
ボトルネックを探す
次に提示されたのは【ボトルネック】と【非ボトルネック】の2つ。
ボトルネックとは「瓶の首」の意で、瓶の首部分で渋滞してしまっている箇所。
そこで部下の矢沢が「ボトルネックを通過するフローを需要に合わせる」ことを導きます。
(主人公、お前が先に導け)
ボトルネックは【悪】ではなく【現実】ですが、やはり工場での出荷にかかる時間はボトルネックに準じてしまいます。
なのでボトルネック部分は、最低限、市場の需要を下回らないように注意します。
TOC制約理論
著書の総括、TOC制約理論。
TOC(Theory of Constraints)とは、Constraints(制約)、すなわち「ゴール達成を妨げる因子(ボトルネック)」にフォーカスする事によって、最小の努力で最大の利益をあげる経営管理手法です。
上記の『生産的かどうかをはかる指標』を底上げすることで、ゴールに近づけるのですが、それを最適化させるために以下のステップを繰り返します。
②ボトルネックをどう活用するかを決める
③他のすべてを②の決定に従わせる
④ボトルネックの能力を高める
⑤ボトルネックが解消したら①に戻る
「ボトルネックに集中することで全体最適になる」というのが、このTOC制約理論です。
まとめ
ビジネス書などのマンガ版の多くは、章の最後にまとめ的に活字があったりするのですが、この本はそういったものが一切ないので、読みやすいは読みやすいです。
ただその分、理解を深めるためには、結局ググったりしなければいけないのですが。。。。
まぁ全552ページの本なんかまともに読んでたら何時間かかるんだって感じなので、こういったサラッと読める本はとてもありがたい。
ちなみに『ザ・ゴール2』のコミック版も出ているので、また読んだら書きたいと思います。
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この記事を書いている人
ノリオメモ(@noriomemo )
株式会社NOOE.TOKYO 代表取締役兼COO。美容健康系メディアなどの運営を経て、2018年5月、起業家と投資家をマッチングさせる『CHAINS』をローンチ。
2018年7月からはオンラインサロン『ノリオンラインサロン』を主催。遊ぶことに命かけてる。アソ部主催。
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